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The Boy Who Cried Werewolf (TV) 僕は本家狼男

アメリカ映画 (2010)

チェイス・エリソン(Chase Ellison)が、ティーンの怪物オタク少年から、由緒ある血族の狼男に成長(?)するまでのコメディ映画。チェイスは、『Mysterious Skin(ミステリアス・スキン)』(2004)のニールの子供時代の印象が鮮烈で、翌年の『End of the Spear(槍の時代の終わり)』(2005)はほとんど全編出ている割に印象が希薄だった。そういう意味ではこの映画が彼の子役時代の代表作と言えるだろう。ただし、チェイスは1993年生まれなので2010年の作品ということは、単純計算すると17才になってしまうが、どう見ても映画の設定年代と同程度の14-15才頃にしか見えない。

アメリカでは冴えない一家3人。父は経済的に破綻寸前、姉は誰もプロムに誘えないようなダサい高校生、弟は怪物・ゲテモノ趣味で、悪戯が大好き。そのため停学の常連になっている。その3人が、亡き母の兄の急死に伴い、ルーマニアの狼人間伝説で有名な町ウォルフスバーグのシンボルである城を遺産相続することになり、ルーアニアに出向いてからが映画の本番となる。映画の前提として、狼人間と吸血鬼は実在するという設定を受け入れた上で観ると、使い古されたテーマを斬新な切り口でコメディ化した作品として、それなりに楽しむことができる。ハッピーエンドも、コメディには相応しい。

チェイス・エリソンは、どこにでもいる普通のローティーンの少年。演技もさほど巧いとは思えない。演出も如何にもTV映画らしい。その割にあらすじが長くなってしまった。


あらすじ

映画の冒頭、妻を亡くした父デイヴィッドと、冴えない姉のジョーダン、悪戯好きのハンターの一家3人の日常が紹介される。ハンターは あと1ヶ月で14歳迎えるが、声変わり前で まだあどけなさが残る。夕方、わざと停電で真っ暗にしておいて、ヒューズボックスを見に来た姉を、ドクロのゴムマスクを被って脅す。懐中電灯で殴られたものの、携帯で姉の驚いた顔をバッチリ撮影。そんなことが趣味なのだ。その後で、キッチンのパソコンで近々発売のゲームソフトの宣伝を見ている。「15歳以下禁止でしょ」。「パパが買ってくれるって」。「考えとく、って言ったのよ」(1枚目の写真)。「夕食は何?」。「豆腐炒め」。「姉貴がベジタリアンだからって、何で 僕らが飢え死にするワケ?」。そして、「人間は肉を食べる。だから、この歯があるんだ」と犬歯を見せる(2枚目の写真)。皿を4枚並べる姉。「なんで4人分?」。「お近くのカールスバーグさんを、夕食に招いたの」。「なんで、そんなコト?」。「パパのためにと思ったの。感じよくね」。姉は、父を再婚させたくて必死なのだ。家事がしたくないからか?
  
  

そこに、夫人が、お手製のミートパイを持って到着。事前に知らされていなかった父は、姿を見てびっくりし、姉をキッチンに呼び出す。その隙に、ハンターは、「カールスバーグさん、僕、すごく喉が渇いちゃった。冷蔵庫から、ソーダ持ってきて下さいません?」と、ワザとすがるように頼む。その時の何とも言えない顔が面白い(1枚目の写真)。キッチンでは、姉が、「パパに良かれと思って」と弁解し、父は、「気持ちはありがたいが、心の整理がついたら自分で考える」と言いつつ、行儀悪く、パイをえぐって味見する。そこに、ソーダを頼まれた夫人が顔をのぞかせ、「ハンターがソーダを欲しいって」(2枚目の写真)。食べながら冷蔵庫を指差す父。そこでハタと気付く。ハンターの悪戯だ。だが、時すでに遅く、冷蔵庫を開けた夫人は、中に入れてあったチキンからソースの一撃をくらい、卒倒。
  
  

姉弟は、同じ学校に通っている。学校での姉はもてない代表格。マッキャンという転校生に憧れている。仲良し3人組の他の2人から「今は、ネズミでいちゃダメ」「あなたはプレデターで、あいつは獲物なの」と勇気付けられて接近するも、名前は間違えられるわ、「顔、どうかしたのか?」と言われるわで惨敗。スポーツでも音痴ぶりを発揮。弟のハンターは仲良し3人組とここ一番の悪戯のため、姉のクラスのサッカーを物陰からこっそり伺っている。実は、予備のボールを入れたバッグの中に、男の頭の精巧なゴムモデルを忍ばせておいたのだ。それを手に取って悲鳴をあげるコーチ。用意したデジカメでそれを撮って大喜びの3人組(1枚目の写真)。しかし、すぐに先生に見つかり、カメラを没収される(2枚目の写真)。
  
  

その夜、家では、父と姉が請求書の整理。姉:「これは、絶対 支払わないと。残りは、15日まで延ばせばいい」「パパ、大丈夫よね?」。父:「もちろんさ」。「でも、奇蹟が必要よ」。父は、住んでいる家を失いかねない資産状況にある。姉は、さらに1枚の紙を取り出す。それは、学校からの、ハンターを停学処分にするという通知。父は、さっそくハンターの部屋に直行。学校から返されたカメラの画像を見て笑うハンター。「笑い事じゃない」(1枚目の写真)。「こんなことは、やめるんだ。子供の時ならいいが、もうお前は大きい」。「あと1ヶ月で14歳だ」。「現実の世界に生きろ。いいな。現実の世界にはデストラクラーはいない。ミューティレーターもエイリアンも」「もう1回くらったら、全部捨てるぞ。いいな?」(2枚目の写真)。
  
  

その夜、家の外にマントの男が現れ、玄関に大きな紙の封筒を置いていく。物音に気付いたハンターが玄関を開けると、そこには封筒があり、去って行く男が見える。さっそく父と姉を起こす。「真夜中だぞ、ハンター。もしこれが、いつもの…」。「違うよ。開けてみて」。父は、蝋で封印された封筒を開け、手紙を読む(1枚目の写真)。「サンズ家殿。謹啓 ルーマニア、ウォルフスバーグにて」。姉:「ルーマニア? ルーマニアの誰?」。ハンター:「吸血鬼さ… 言ってみただけ」。雑音が入ったが、父は読み続ける。「偉大な伯父上ドラゴミール・ヴーコヴェック殿がご逝去されましたこと、謹んでお悔やみ申し上げます」「つきましては、今週土曜日の遺言状の執行にご臨席賜りたいと存じます。その際、ウォルフスバーグの荘園が貴殿に譲渡されます」。思いもよらぬ内容だ。姉:「ウォルフスバーグ〔狼の町の意味〕の荘園?」。父:「ドラゴミール〔ドラゴには竜の意味〕?」。弟の悪戯かも… そこで、ハンターは、「僕じゃないよ。変な男が外にいて僕を見てた。そいつが これを置いてったんだ」。そして、「電話番号がある。信じないなら、かけてみて」と潔白を主張。電話の先は、ルーマニアの遺言執行人の事務所だった。「何て言ったの?」。「お前たちの母さんの伯父さんが、全部譲ったんだそうだ。お城も含めて」。それを聞いたハンターは、「ね? 言ったろ。僕ら金持ちだ」と大喜び(2枚目の写真)。「パパ、まさか真面目に考えてないわよね?」と姉が言った直後に、画面はルーマニアのウォルフスバーグ空港へと移る。
  
  

3人は空港からタクシーに。トランクに荷物を入れた後で、中に犬がいることに姉が気付く。犬嫌いの姉は「乗らないわ」。運転手に「吠えないし、噛みません」と言われ、しぶしぶ乗る。この犬と、冒頭のベジタリアンと、草アレルギーの3つが伏線となる。立派な城の前で降りた3人。「ほらね」と、ハンターは嬉しそう。
  
  

大きな木の扉をノックしても返事がない。玄関ホールに入ると、後ろのドアが自動的に閉まったので一瞬振り返り、視線を戻すと、目の前に背の高い女性が立っているので3人ともびっくり(1枚目の写真)。父は、思わず「たまげた」ともらし、「やあ、私はディヴィッド・サンズ。あなたは…」と手を差し出す。黒髪のグロテスクな風貌の女性は、強い訛で「私、ヴァルコラック夫人」と言っただけ〔Varcolacはルーマニア語で狼人間の意味。以後V夫人と略記〕。V夫人は、「後について」と言って階段を上がって行く。父が「ここは、長いのかね?」と訊いても無視。2階に着くと、「男の子、女の子、部屋はこっち」と言い、鍵に付いたグリーンのレーザーポインターで方向を示す。変に現代的だ。次いで、「父親、部屋はあっち」と反対側を示す。「規則は1つ。夜、部屋を出ない。鍵をかける」。ハンターが「それ2つだろ」と突っ込む(2枚目の写真)。父はすぐ、「ハンター、反論するんじゃない」と注意。その時、犬の遠吠えが響き渡る。父は、慌てて2人を部屋に追いやる。部屋に行く途中で、廊下にかけてあった絵に気付くハンター。その絵には、「ドラゴミール氏へ。群れの力は狼のもの、狼の力は群れにある。ご多幸を。ラドヤード・キップリング」とサインしてある。「ママが いつも言ってた言葉だ。このキップリングって誰?」。「これ、キップリングの『ジャングル・ブック』の一節。さあ、行くわよ。彼女を怒らせたいの?」と姉(3枚目の写真)。廊下の途中で立ち話をしている2人に、「部屋に」と怖い声がかかる。走って部屋に向かう2人。それぞれ、とても立派な部屋だ。父が入った部屋には、ベッドサイドに「ポリーナ不動産」と印刷された名刺とともに、美しい女性の顔をプリントしたクッキーが置いてある。金欠病の父は、さっそく明日この女性を訪れて、城を売り払おうと考える
  
  
  

明くる日、3人はウォルフスバーグの町に出かける。父は、ポリーナ不動産の女性に会うため、姉弟は町の見物と、V夫人に頼まれた買い物のため。町に着くと、父は、「後で会おう。そうだ、ハンター、吸血鬼グッズは禁止だぞ」と言って早々に分かれる。期待して賑わう通りに入って行く2人(1枚目の写真)。町の中心の広場には狼男の銅像がある。「ウォルフスバーグの庇護者」だ。ここでは、狼男が、町を統治する最高位の存在なのだ。見物もそこそこに、買い物のため食料品店に入る。店の中は変わった商品で一杯。ハンターが、「すごい、蛇の毒だ」と言って小瓶を見ている(2枚目の写真)。店での最大の収穫は、姉が肉処理係のゴランと店内でぶつかり、それが縁で知り合いになったこと(3枚目の写真)。ゴランは、アメリカに憧れていて、姉を一目で気に入ったのだ。この2人の関係は後々まで、二転三転して続いて映画の主要な筋の1つになる。この時は、「君がここにいる間に町を案内できる」というゴランからの誘いに対し、姉は、「さあ、どうかな。つまり、弟の面倒みなきゃいけないし、数日しかいないから…」と断る。理由は、ゴランが肉屋で、姉はベジタリアンだから。
  
  
  

城に戻った2人。さっそく、ノート・パソコンをインターネットに接続する。こんな古い城だが、無線LANが使えるのだ。パスワードが「ブランジェリーナ」〔アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの夫婦を指す造語〕というのも笑わせる。ハンターは、アメリカの2人に、「ウォルフスバーグの狼男は、ただの人間だ」と話すと、2人から、「そんなサイトは、全部ヤボな大人が作ってる商業ベースのガラクタだ」と笑われ、「真実は、アングラのブログにある」と指摘(1枚目の写真)、狼男はちゃんといると教えられる。その時、ネットの接続が不調になる。同様にスカイプで友達と話していた姉から頼まれ、ワイヤレスの信号の強い場所を探して城内を歩きまわり、書斎に辿り着く。姉:「で、どこにあるの?」。ハンター:「本棚の裏じゃないかな」。そして、「気味悪い城じゃあ、本がスイッチなんだ」と言いつつ本を動かすと本棚が開く。「ほらね」。しかし、実は、姉がリモコンを見つけてボタンを押したから開いたのだ。本棚の奥には、実験器具や変な標本がぎっしり。姉:「ここにいるの ヤバそうよ。もし、見つかったら…」。だが、ハンターの趣味にはぴったりだ。「ここって凄いや。ぞくぞくする」。ハンターは、ルーターを発見しリセット。その間、姉は気持ちの悪そうな物が陳列された棚を「胸が悪くなる」と言いつつ見ている。そして、血液の入った試験管を発見。「L. B. 217」と書かれた紙が貼ってある。その時、後ろからハンターがそっと近付き、剥製の動物の脚で姉の背中を触る。思わず試験管を落とす姉。床に落ちて割れた試験管から血液が飛び散る(2枚目の写真)。「血だらけだ。どうしよう」。その時、運悪く人の近付く気配が。隠れようと立った瞬間、姉は、割れた試験管を素足で踏んでしまう。2人は、V夫人には見つからずに、ほうほうの体で部屋に逃げ帰った。部屋で、姉の足の裏に刺さったガラス片を抜き取るハンター(3枚目の写真)。
  
  
  

翌朝、朝食として、V夫人は、父とハンター用に大量のソーセージとベーコンを持ってくる(1枚目の写真)。「ごちそうだな」と父。「夜中に 変な音 聞かなかった?」とハンターが訊く。「いいえ、犬睡してたから」と姉。「熟睡ってこと?」と訊き直すハンター(2枚目の写真)。「そう言わなかった?」。姉は、自分用のオートミールを食べずに、物欲しげにソーセージを見ている。そして、父の話を聞いている間に、知らず知らず涎が垂れてしまう(3枚目の写真)。ハンターに「それ、よだれ?」と訊かれ、「何よ、まさか」。その後で、ハンターがV夫人に「ところで、ドラゴミール伯父さんは どうして死んだの?」と尋ねる。返事は「悲劇的な狩猟の事故」。「どんな人だったの? フランケンシュタイン風?」。「優しくて偉大な方」。食事が済んで全員がいなくなった後、V夫人が後片付けに来ると、山盛りだったお肉の皿はきれいに食べ尽くされていた。
  
  
  

町に出かけた3人。姉の行動は、とても奇妙だった。ハンターが、父の「別の女性への興味」を許したことに、姉は、「それでいい。それが自然なの。よかった。乗り越えたのね。私の可愛い、ちいちゃな弟」と言いつつ、まるで犬を可愛がるように、ハンターの顔を両手で撫で回す(1枚目の写真)。思わず、「何すんだよ?」と嫌がるハンター。その時、姉が「匂わない?」と言い出す。「何が?」。「綿菓子。大好きなの、来て」と言い、ハンターを引っ張って行く。鼻が信じられないほど敏感になっている。さらに、急に「公園で遊ぼう!」と言い出す(2枚目の写真)。姉は草っ原まで駈けて行き、「草だわ! 大好き!」。そこには、犬もいる。「何だって? ダメだよ。草にアレルギーがあるだろ。それに犬にも」。そんな警告にお構いなく、姉は草の上で犬と遊び戯れている。たまたま配達のため自転車で通りかかったゴランにも、「最初は、ベジタリアンと肉屋なんて邪道だと思ったけど、今は、そうでもなくなった」と話す。そんな姉を、ハンターは不審そうに見る(3枚目の写真)。
  
  
  

城に戻った姉。どんどん気深くなる脚に「嘘でしょ?」と戸惑う。鏡を見ると、目が青く光っている。真っ青になって振り向くと、そこにはハンターが。「何してるの?」。「そっちこそ、何してるのさ?」。そう言いつつ、「ドアの外に これがあった」と言って、骨付き肉の食べかすの山を見せる。姉は、「ハンター、あんた最近、かなり変よね。大丈夫なの?」としらばくれる。「僕は快調。そっちこそ、大丈夫?」。絶対怪しいと踏んだハンターは、本棚の裏の実験室に入って行き、姉が踏んだ試験管を調べる(1枚目の写真)。そして、アメリカにいる2人と相談。ハンターの話を聞いた2人は、「君の姉さんは狼人間だ」と断定する(2枚目の写真)。「狼人間になるには3つ方法がある」「第1、君たちは狼人間の家系だ。だけど、満月が一番高く昇る明日の夜までは変身しない。だから、ジョーダンは違う」「2番目は、狼人間に噛まれた時。昔からの定番。だけど、噛まれてない」「だから3番目に行く。狼人間の血液からの感染。心当たり あるだろ?」。ハンター:「どうして、狼人間の血だと分かる?」。「L.B.217だ」。「Lycanthrope(狼男)のBloodだ」「ギリシャ語のリュコス(狼)とアントロポス(男)に由来してる」「変身は感染の直後から始まる」「だから友よ、君はどうする気だ?」。「どうすればいい?」。「今、姉さんは?」。「ディナー・デートに出かけてる」。2人は、「デートの相手が姉にディナーにされる」と警告する。その姉は、ゴランとデート中。姉は、「この町に来てから、別の人間になったみたい。強くて元気で、何でも出来そうな感じ。やりたいことは何でもできる」。そう言うと、路地の照明用の棒に向かって飛びかかると(3枚目の写真)、体操の選手のようにくるくる回る。驚きながら、そんな姉にゴランは戸惑う。
  
  
  

姉を止めようと町まで来たハンターを待ち構えていたのは、アメリカで深夜「招待状」を届け来た怪人物だった。「何の用だ? なぜ僕を つけまわす?」。「急げ。時間があまりない」。「何 言ってんだよ?」。「奴らが来る。用意しないと」。そして消える。モバイルのスカイプでそれを見ていた2人の友人。「あれ、何なんだ?」。「チンプンカンプンさ」。ハンターは、建物の影で、ゴランを食べようとしていた〔ハンターの誤解〕姉を見つけて、「ジョーダン、止めろ!」と駆け寄る。実際は、肩に手をかけていただけだ。姉:「ここで何してるの?」。返事に困ったハンター。「さあ… 姉さんがひょっとして…」。「ひょっとして何なのよ?」。「忘れて。で… 2人で何してるの?」(1枚目の写真)。「ロマンチックな夜を過ごしてた。あんたが、ぶち壊すまではね」。そして、ハンターに近寄ると、光る青い目で「ヤバいことになるわよ」と警告。震え上がるハンター(2枚目の写真)。そして、姉は、屋根の向こうに消えて行った。
  
  

城に戻ったハンター。姉も帰っている思い、姉の部屋に行って声をかける。「ねえ、ジョーダン、何が起きてるか知ってるよ。今は、何もかも最高だ。草の上を転げ回り、ステーキを食べ、犬と遊んでる。でも、この先どうなるか知らないだろ。悪くなる一方だぞ。助けがいる。でも、僕にはできない」(1枚目の写真)。返事がないので、「分かった。以上だ。君は狼人間だ。パパに話す」。その途端、床を這って唸りながら現れた姉(2枚目の写真)。必死になって廊下を逃げるハンター(3枚目の写真)。しかし、行き止まりまで追い詰められ、狼が牙を剥く。その時、1階から父が、「子供たち、上で何してる?」と訊く。ハンターは、「別に。ふざけてるだけ」と言ってはみたが、最悪を覚悟している(4枚目の写真)。「ハンター、お姉さんを怖がらせるな」。「大丈夫、そんなことしてない」。そして、姉に対しては、「何でも言うこと聞くから。お願い食べないで」。嘆願が効いたのか、狼人間となった「姉は窓を突き破って夜の闇に消えて行った。
  
  
  
  

翌朝、父が報告する。「ポリーナの話では、いい買い手が見つかったとか。もし、話を進めて、もし本当に条件が良ければ…」。ここで、いたたまれなくなったV夫人が席を立つ。城が売られれば、自分の居場所がなくなるからだ。ドラゴミールの血統でない父は、城は、単なるアメリカで自分の家を確保するための道具としてしか見ていない。V夫人は、もし、売るようなことをすれば、暗黒が降りかかると言って、思い留まるよう迫る。ポリーナの魅力に目のくらんだ父には、それが脅しとしか聞こえない。一方、ハンターは、姉に、「これは、僕の専門領域だ。助けてくれる人を知ってる。高度な訓練を受けた専門家だ」ともちかける。専門家というのは、実はいつもの2人組。その「専門家」の答えは、「銀の弾丸で心臓を貫く。それしか途はない」。「正気か? 姉さんを撃つ? 僕を殺人犯にするつもりか?」。「ひどい話に聞こえるだろうが、もう君の姉さんじゃない、野獣なんだ」。そこに姉が割り込む。「こいつらが専門家?」。ハンターは、2人に腹を立てて、「姉さんは撃たない。反論は受け付けない」と断言する(1枚目の写真)。しかし、2人は、「分かった。いいだろう。任せる」「これだけは覚えとけ。あと24時間だ」。「何が?」。「永久に狼人間になるまで」「満月が終わったら、元に戻る機会もなくなる」。姉:「バカげてる」。「僕らは、あらゆるデータベース、本、ブログを見たけど、同じことを言ってる」「最初の満月を狼人間のまま終えたら、永久に狼人間のままだ」。それを信じた姉は、そこから逃げ出し、「自分で解決する」と言い残して外に出て行く。ハンターは責任を感じ、秘密の実験室に閉じ籠もり、必死にネット上を漁る。そこに、いつの間にかV夫人が入ってきて、「ここに いてはいけない」と警告する(2枚目の写真)。手には何故か肉包丁。「ねえ、ごめんなさい。せっぱつまってて。姉さんが大変なんだ」。V夫人は、とうに気付いていた。「見れば、狼人間と分かる」。「分かるの?」。「イエス。生涯、狼人間と暮らしたから」。「ドラゴミール伯父さんが 狼男?」。「ドラゴミールは素晴らしい発明家で科学者」。そして、一般の人間が狼人間になると大変な犠牲を払うことになるので、彼が元に戻す方法を発明したと打ち明ける。しかし、V夫人はその方法を知らなかった。
  
  

姉は、墓地にあるドラゴミールの墓を訪れ、「ドラゴミール伯父さん助けて」とすがる(1枚目の写真)。すると、墓に彫られた浮彫りの上に、光る文字が現れた。ルーマニア語なので読めない。早速、弟に電話をかけて呼び寄せる。ハンターは、V夫人と一緒に大急ぎで駆けつける。しかし、V夫人には文字が見えない。ハンターがさっそく、「A Inversa Blestemul…」と読み上げ始める(2枚目の写真)。すかさずV夫人が、「呪いを解くには…」と訳する。そこには必要な材料が書いてあった。実は、この文字が見えるのは狼人間か、狼人間の血統の者だけなのだ。V夫人もそれを知っていて、ハンターこそが、ドラゴミールの真の後継者なのだと悟る。それを知った時の一瞬の表情(3枚目の写真)には安堵の思いが隠されている。後継者がいなければ、吸血鬼に敗れることは必至なのだ。以前、ドラゴミールの死因を訊かれて「悲劇的な狩猟の事故」と答えたのは嘘で、本当は、吸血鬼に殺された。ドラゴミール亡き後、吸血鬼を破る者がいなければ人類は支配下に置かれてしまう。そして、そのことを2人にも打ち明ける。それを聞いた姉が、「私じゃどう? お城を守れるわ」と言うが、V夫人は「血統の者でないと無理」と答える。そして、最優先は、姉を元に戻すために材料を揃えることにあると言う。ハンターが血統者だと分かったので、治療に専念できるのだ。材料は、マーモットの心臓、スズメバチの幼虫、サソリの尾、コウモリの唾液、L.B.217の血液だ。
  
  
  

店で材料を探している間に、姉の目が青くなる。V夫人は、変身が近いと知り、2人に大急ぎで城に向かうよう命じる。しかし、タクシーなど見当たらない。代りに、町の中でポリーナとばったり出会う。彼女は、今から城まで父を迎えに行くので、車に乗って行けと申し出る。大喜びで同乗する2人。しかし、途中で姉の変身が始まってしまう。その時、車が停まる。故障だと言って外に出るポリーナ。その時、羽ばたきの音が聞こえる。そして現れたのは、吸血鬼の一団。なんと、ポリーナはそのボスだった(1枚目の写真)。2人は、部下に捕らえられ、トランクに押し込まれて町の連れ戻される〔ポリーナは父を迎えに1人で城に向かった〕。しかし、狼人間に変身した姉が吸血鬼達の気を逸らしている隙にハンターは脱走、レストランでポリーナと仲良くデートをしている父の元に駆け付ける。そして、ポリーナに向かい、「姉さんはどこだ? どこに連れてった?」と問い詰める。「ダーリン、大丈夫、顔色青いわよ」としらばくれるポリーナに、「それは そっちだろ!」と反駁、「こいつは吸血鬼だ!」と指差す(2枚目の写真)。レストラン中で起こる笑い声。ハンター:「にんにくだ。にんにくが要る。誰か、持ってない?」。ウェイター:「残念ですが、にんにくは使っておりません」。「なぜなんだ? そうか、知らなかった、ここは吸血鬼のレストランなんだ!」。放置できなくなった父が、立って他の客に詫び始める。それを無視し、ハンターは「こいつは、ドラゴミール伯父さんを殺したんだ!」と叫ぶ。立ち去るポリーナ。ハンターを引っ張ってレストランを出る父。ハンターが「誓うよ、全部ホントだ!」と言っても(3枚目の写真)、「そこまでだ。吸血鬼はいない。モンスターもエイリアンもだ。家に帰ったら、全部捨てるぞ。覚悟しとけ」。「いいさ。捨てろよ。だから聞いて!」。「一言も言うな」。「ジョーダンは狼人間だ!」。呆れ果てる父。「信じなくちゃいけない理由なんかない。僕は、変人で、怪物の頭と寝てる。僕が何を言っても信じなくて当然さ。でも、これだけは、お願いだよ、パパ!」。この必死の懇願にも、「ハンター、帰国するぞ」と冷たい返事。ハンターは父を見限る。「嫌だ。どこにも行かない。姉さんが危ない。助けに行く」と言って走り去る。ハンターは、後を追ってきた父に、「ママなら信じてくれた」と言う。唐変木の父に効いたのはこの一言だった。
  
  
  
  

ハンターと行動を共にすることにした父、地下の通路を辿って行き、墓地の下に到達する。2人の前に、狼人間の前で、歌いながら銀の弾丸を作っているポリーナが現れる。父:「ありゃ何だ?」。ハンター:「姉さんだよ。夜明けまでに城に戻さないと、永久にあのままなんだ」。しかし、そこで手下に見つかり、2人は、鎖で壁に縛り付けられてしまう(1枚目の写真)。ハンター:「あんなガールフレンドで残念だったね、パパ」。父:「謝らなくちゃいけないのは私だ。ハンター、信じなくて悪かった。ジョーダン、こんなことが起きるなんて。ママがいたら何かできただろうが、パパはママじゃない」。銀の弾丸で姉を撃とうとするポリーナ。その時、天窓から見える満月に反応して、ハンターの目が金色に光り(2枚目の写真)、狼男に変身する。圧倒的なパワーで壁の鎖を引きちぎり、それを見た部下は逃げ出し、ポリーナも飛び去る。後を追って闘うハンター、姉ジョーダンと協力して吸血鬼の手下を朝日で次々と消していく。最後に残ったポリーナ。人間の姿に戻った姉が、棺に放り込み、そこに朝日が射し込みんでポリーナが燃え上がる(3枚目の写真)。
  
  
  

その間にも、城ではV夫人が薬の調合を進めていた。残るのは、L.B.217のみ。割れてなくなった試験管の血液の代りに、ハンターの血液を使う(1枚目の写真)。そして出来上がった薬を今度は姉に打つ(2枚目の写真)。姉は、薬が効いて人間に戻ることができた。城に置いてある白黒写真を見て、「なぜ、僕の写真がここにあるの?」とハンターがマダムVに尋ねる。その写真は、顔はそっくりだが、ハンターのものではなく、ドラゴミールの14歳の時、最初の満月の直前、狼男になる直前に撮影されたものだった。姉:「2人ともそっくり」。ハンター:「あなたは、ずっと知ってたの?」。V夫人:「墓地で分かった」。「どうやって?」。「ドラゴミールの墓石。あなた読めた。狼人間だけができる。秘密を隠すドラゴミール流のやり方」。
  
  

そこに、冒頭に出てきた怪人物が3度目に登場する。ハンター:「あんた、ここで何してるの? パパ、この人だよ、前に話してたのは」。この人物は、伯父の荘園の遺言執行者だった。ハンター:「最初から、そう言ってくれりゃ」。「伯父様に代わって行動したのです。私の仕事は、ある種の状況が解決されるのを見届けることでした。解決されましたね?」。父:「はい。2人が」。「結構。では、先に進みましょう。ここに署名して頂ければ、ウォルフスバーグの荘園はサンド家の所有となります。同様に、ヴァルコラック夫人がこの荘園に住み、管理する旨も規定しています」。そして、一枚の紙を渡される。そこには莫大な金額の遺産総額が書いてあった。姉:「すごい」。父:「びっくりした」。ハンター:「言ったろ、僕ら金持ちだ」(1枚目の写真)。姉:「アメリカの家を手放さなくて済むわね」。父:「お城と家が 両方持てる」。かくして、姉とゴランの仲も元に戻る。ゴランが、「弟さんはどこ?」と訊くと、満月を背景に丘の斜面で吠える狼男が町の広場から見える(2枚目の写真)。「見よ、ウォルフスバーグの偉大な庇護者だ!」と声が上がる。父は、「息子が、偉大な庇護者か」。V夫人:「彼の運命です。信じ難い?」。「慣れてきたよ。だが、14歳の子供には大変な責任だ」。「もう男の子ではない。男です」。
  
  

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